裏切った方が得をする!?~囚人のジレンマ~
突然だが、あなたがコンビニの店長で、新しいアルバイトを雇うことを考えてほしい。
人件費の削減から学生を雇いたいと思うが、その地域には短期大学の学生が多く、すぐに辞めてしまうことを危惧している。
一方で学生も、期待されていないし、時給も安いから長くは続かないだろうと感じている。
このように、お互いが辞めてしまう(裏切る)ことを前提とした心理状態を「囚人のジレンマ」と呼ぶ。
「囚人のジレンマ」は逮捕された2人組の泥棒で説明される。
例えば、彼らはお互いに罪を自白しなければ(協調)、懲役2年の判決を受ける。
しかし、相手が自白した場合(裏切り)、相手だけが罪をかぶり、懲役10年の判決を受ける。
そしてお互いに自白すると、ともに懲役5年となる。
さて、このとき、あなたはどうするだろうか。
この場合、最も重い罪を回避するために自白(裏切り)を選択できる状況では、結果的にお互いが裏切る方向になりやすい。
つまり、お互いに裏切ることで最大の被害を回避するのである。
先のアルバイトの話も、お互いに裏切ることで(雇わない/雇われない)、被害をさけるように動くだろう。
しかし、お互いに自白(協調)したほうが、罪が軽くなるのに、どうして裏切ってしまうのだろうか?
これには心の「裏切り者をさがす」機能と、「信頼を感じる」機能が関係している。
もし、この囚人たちが互いに連絡をとりあえると、どうなるだろうか。
この場合、自白しないことをお互いがわかると、協調して罪を軽くすることができる。
これが「信頼を感じる」機能である。
ただ、ふつうは囚人たちがお互いに連絡をとりあえることはないので、裏切る可能性がわからない。
こんなときは「裏切り者をさがす」機能がはたらいて、裏切られることを前提に行動してしまうのである。
このような心の機能は、人間の社会性を維持するために必要不可欠だと考えられる。
そう、あなたの学校や職場、家庭でもそうだ。
一方が悲しい、苦しい思いをしないように、「信頼を感じる」機能が十分にはたらく環境をつくり、公平な人間関係をつくってほしいと思う。